Pro Antiques "COM" 向日町工房

「向日町工房」。木と緑の世界のなかで・・・

 Pro Antiques "COM"の位置する中京区は京都市内のほぼ中心ですが、Pro Antiques "COM"に並ぶ家具や木工製品などの修復を行っている向日町工房は少し南の向日市という小さなマチにあります。

 大阪と京都の中間の田園地帯。昔から水がおいしい事で知られる山崎の近くで、地下水も豊富、緑もたくさん残っているエリアです。

 都会の喧騒に無い静かな落ち着きがあり、ゆっくり流れる時間の中でアンティークに向き合うにはぴったりの場所です。
 

折れてしまつたものはくり抜くことで堅牢に継ぐ事ができる

 

徹底的な分解洗浄、丁寧な木工修復、品物の本位の経年変化塗装

 向日町工房では毎日、古い家具を分解し、洗浄し、壊れた部分を取り除き、必要であれば構造をつけたし、木をけずり、組み立て、そして油をなじませ、塗装し、研ぎ上げ続けています。

 地味で着実な作業ですが、同時にいつも発見があり、時に難題も現れます。そして問題を乗り越える事を楽しみつつ、向き合い続けています。

 向日町工房は今の家具を使う感覚で古いものを取り入れてもらうために、まず分解洗浄する事に力を注いでいます。清潔である事、汚れを呼び込まないことが愛着につながると考えるからです。

 虫が食べたり、汚損した部位は取り除き、その家具が作られた時代と同じ材料と技術を使いていねいにつくり直す事で、「これからの100年」をへて使い続けてもらうための堅牢性を確保しています。

 そしてそれを独自の古色修復技法で100年で起きる経年変化を科学的に短時間で起こし、使い込まれた風合いを再現しています。それは大変根気のいる作業です。
 

長い年月で外れ、ゆがむ。

 

「今の家具」を購入する感覚で、「本物の和のアンティーク」を手に入れるという贅沢。

 徹底的に修復し、さらに必要であれば家具の欠点をより高いレベルでリノベートする。少し遠回りでわかりにくい工程ですが、結局、ほんとうに日本のアンティーク家具を楽しみ、その魅力を味わってもらうためには必要な工程です。
 
 すぐに外れる取っ手や開かない引出し、歪んだフレーム、ポロポロと落下する塗装・・・そうした「古道具」も確かに味わいですが、しかし、それでは作られた当時からベストコンディションで受け継がれてきたアンティーク家具に備わっているアンティーク本来の魅力をほんとうに味わう事ができません。Pro Antiques "COM"はその部分が大切だと考え、積極的な修復に取り組んでいます。
 
 風合いと汚れ、個性と破損、雰囲気と劣化は時に紙一重であり、アンティークの魅力がどこにあるのかは議論の分かれるところであることは承知しています。しかし、家具に限っては実用性と清潔性という方向から見れば、やはり手を抜かず分解洗浄し、ていねいに直してコストをかけるからこそ、本来の魅力を引き出す事ができると思うのです。
 
 現代家具の様に気軽にそして清潔に使ってもらって、それ以降の過程で新しいパートナーとして味わいを育てて貰えば良いという捉え方が、Pro Antiques "COM"の古い家具に対する立ち位置となっています。
 
 少し頑固かもしれませんが、ちょっと拘っているPro Antiques "COM"向日町工房の日常をほんの一部分だけ切り取ってみました。
 

木の優しさ、木の味わいを取り戻すためにていねいに削る

 

Vol.1 近江水屋

 
フレーム構造と直線の美


 
容量の大きな水屋を是非新築の家屋に据え付けたいという要望から、据付収納の代わりに容量の大きな近江水屋を活用する。修復素材としての近江水屋や京水屋などの最盛期は明治時代。
 

Vol.2 階段箪笥

 
それは家なのか?家具なのか?


 
階段箪笥は日本の家具の中でも最大級の大きさを誇り、水屋と並んで和家具の双璧と言ってもいいと思う。同時にこれは本当に家具なのだろうか?。家の一部では無いかと思えるところもあり....
 

Vol.3 真鍮ネジ

 
らせんの迷宮


 
マイナスの真鍮ネジは風前の灯。メーカー生産が終了してからもう30年程度たって、世の中から完全に忘れ去られつつある。マイナスドライバーが店頭から消える時代だから...
 

Vol.4 多段引出

 
飴色の色彩表現


 
小さい割に手間をかけなければならず、かつ塗装にも凝らなければならないのが多段引出し。引出しが多ければ多いほど、引出しの分解作業に骨が折れる。