「古道具」時間旅行のチケット

日本の古道具はどこかユニークであたたかい

 日本の古道具は西洋のものの様にきっちりとした印象はなく、しかし、アジア系のアンティークの様にくだけすぎることもない。ちょうど中間に位置し、なんとも言えない微妙なやわらかさを持つのが日本の古道具の特徴です。

 江戸期の古道具には日本独自のフォルムの中に、時間をへたものもつ緊張感がただよい、独特の古格があります。明治のものは和の香りと近代西洋とが融合する中で重厚な趣を持ちます。

 やがて時代がくだって大正になれば柔らかで軽妙なリズムを持った明るいイメージのものが多く、昭和になると効率よく的確にものを作ろうという明確な意思を感じられるものが増えていきます。

 古道具をていねいに見つめ続けると、時代の変化の中でものに向き合う日本人もまた大きく変化してダイナミックな流れを見ることができます。
 

色の退化したプレートに浮かぶ古めかしい文字

 

古道具は楽しい。

 古道具に宿る古い歴史の流れ・・・。手にした古道具が不完全でも、たとえ壊れていても、そこには見知らぬ昔の時間が宿っています。どうすればこんなカタチのものになるのか、なんのためにこんなパーツが付いているのか・・・手の中で感触を楽しみていねいに見つめるのはちょっとした知性の冒険でもあります。

 知っているようで実は知らない日本の生活の歴史がそこにあり、それが手を通じて伝わる。古道具がこころを魅了する瞬間です。

 ワクワクする様な冒険の気持ちを刺激し、戸惑う様な幻惑を私にもたらしてくれる力。古道具は娯楽であり、冒険の旅です。
 

光線をはねかえすにぶいかがやき

 

古道具をもっと古道具を!

 ものを感じるためには、難しい知識も背骨をひきしめるような気構えはいりません。やわらかい気持ちでものに触れ、それをうけいれてみる。もしかすると知識や気構えは時に邪魔になるかもしれません。

 子供の時に小石を拾った感覚をとりもどし、光にかざした石のシルエットに興奮し、石の感触によいしれたあの時間に帰る。古道具には時計を巻き戻してくれる魔法の力があります。

 必要なのは古道具を少し受け入れてやる遊び心。少し立ち止まって、時間の冒険に出かけてみるそんな新しい楽しみはどうでしょうか?。
 
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