育ていく悠久の歴史「和漆器」

使い込むほどに味わいを増し、風合いが古格を生む

 漆器は英名で「ラッカーウエアー」または「ジャパン」と呼ばれます。
 
 磁器を「チャイナ」と呼ぶ様に、漆器は代表的な生産地である日本をその名前の代名詞とするほど、日本の中で長い歴史を持ち、海外でも日本漆器が漆器の世界的な流れの代表格として扱われてきました。
 
 特に江戸時代中期以降に、日本全体で階級や階層をとわず漆器が普及する様になり、多種多様な漆器が作られ、そして日本には多くのすばらしい漆器が残っています。

 

なつめには漆芸師の遊び心があふれる

 

漆器を育てる

 漆器は作られた時点では完成していないと言われています。
 
 長い年月をかけて大切に扱い、じょじょに光沢が深みを増す中で、ほんらい内側に秘められていた漆器の魅力が現れてくる。つまり、漆器は買うものではなく、育てるものであるという独特の性質を備えているわけです。
 
 100年以上を経て育て上げられる魅力的な漆器の風姿を、製作者や初めの購入者は知ることができないといことは、歴史に長い連続性をもつ日本そのものの姿であるということができるかもしれません。
 
 同時に既に使い込まれたアンティーク漆器なら、100年以上を経て育て上げられた魅力をすぐに自分の手に入れることが出来るのです。継続性のある日本の歴史があるからこそといういみで、ほんとうに贅沢なことです。
 

ため息が出る様な蒔絵の絵物語り

 

漆器という「使う側の作法」

 漆器はさいきんでは「扱いが難しい」と敬遠する人が増えました。扱い方を誤るとひび割れたり、漆が剥がれたりする。そんな風だからなんとなく敬遠すべきだというのがその流れです。
 
 確かにプラスチックやステンレスの品物の様に、使い手が何も考えずに扱えるほど漆器は簡単では無い部分があります。
 
 育て上げるという側面をもつ漆器は、つまり使う側の作法がきっちり守られているという前提の影響を受けているがこそ、色艶を変化させ味わいを増すのです。つまり、プラスチックは育てる余地は無いというわけです。
 
 それは本物の植物と造花との対比に似ているのかもしれません。
 

かつての炎に焼かれても残りつづける

 

正倉院御物の1000年

 奈良の正倉院は古代から続く文物の宝物庫です。古い品物が数多く所蔵され、世界を代表するすばらしい文化財を今に残しています。そして、その中の多くのものが漆器なのです。
 
 適切に湿度を考え、ていねいに扱えば、実は漆器はゆうに1000年以上はもつものであることがここでわかります。
 
 もちろんなかなか国の宝物庫の様にはいきませんが、それでも漆器をもつ最低限のルールさえ守れば、実は時間とともに分解してしまうプラスチックなどよりよほど長持ちする耐久性がある。漆器とはそういうものなのです。
 
 造花ではなく生きた植物に水をそそぐキモチで漆器を扱ってやれば、漆器を維持するのはそんなに難しいことはありません。何も考えないで扱う道具に無い魅力は、簡単なルールさえ守ればしっかりと自分の生活に根付いてくれます。
 
 Pro Antiques "COM"では近畿地方などの旧家から譲り受けた輪島や山中など多様な伝来の漆器が在庫しています。1000年につづく旅へといざなう、味わい深い漆器たちに出会えます。
 
 
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