土の優しさと肌触り
西日本は昔から古窯が栄え、六古窯に代表される様に焼き物の一大王国でした。大壺や甕の様なものから、大皿、皿や茶碗から茶道具さらには置物の様なものまで多くの焼き物が、土地からすくいとった土で焼かれるさまは、魔法の様に焼き物をやく土地に富をもたらしてきました。
素材である粘土と燃料となる木材があれば、飲食や調理に使用する為の道具を簡単に得ることができるという意味で、陶器はいつの時代でも庶民から貴族までが愛用する道具であり続けます。
だからこそ、様々な時代、様々な目的に合わせて、多様な陶器が生み出され使われてきたわけです。
特に畿内の中心である京の都と商都大阪は、信楽や瀬戸、丹波、備前などの陶器を受け入れ、古曽部や粟田のように地域内でもおおくの陶器を生み出してきました。
Pro Antiques COMでは京都の日常で日々使われてきた茶道具から日用雑器までの様々な古陶器をご用意しています。
土と炎の気まぐれ・・・
陶器の魅力は実に多様です。そして、生産地や作り手によって特筆べき魅力のポイントも変わり、なかなか語りつくせるものではありません。
土の風合いが良いとか、口当たりが優しい、光沢が美しい、造形が巧み、形態が実用に適している、熱に強い・・・それぞれの良さは、それぞれに意味をもち、そうした魅力は語りつくせるものでもなく、まして土と炎の気まぐれでそれが変幻自在に変質していくということなら、「陶器の魅力って何?」と質問されても、なかなか答えられない奥行きがあります。
自然の美をみにつけた道具としての陶器
日本陶器の良さはさらに言えば四季の自然美を、道具としてその身のうちに内包していることかもしれないと、日本の古陶器に触れるたびに思います。
海外の焼き物の様に強い人工物として主張が少なく、どこかに土や石、水や木々と共通する自然物の風合いを持ち合わせています。信楽の残欠や備前の地肌、瀬戸の肌味には、自然の草木が愛され続ける理由と同じ、自然の普遍性を内包しているように感じられます。
あまりに当たり前に、そして確かに存在する息遣い。日本古陶器にはそうした静かでありながら確かな存在感があります。
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